粋々紀行 第二弾  ~箔押しの魅力~

粋々紀行 第二弾  ~箔押しの魅力~

「粋々」メニューブックのこだわりとして、
ほとんどの商品にお店のロゴマークを入れることが出来ます。
本日はロゴ入れ(名入れ)の方法のひとつ「箔押し」についてご紹介いたします。

 

そもそも箔押しって何?

「箔押し」は通常の印刷では表現が難しい、金や銀といった輝きのある
キラキラしたメタリックな色合いを表現することに優れた印刷技法です。

「箔」とは金属を薄く極限まで引き伸ばしたものです。
その歴史は非常に古く、日本では古墳時代の装飾品から発見されることもありました。
伸ばしても伸ばしても輝きは失われないため、上製本の装飾のような小さなものから、
京都の金閣寺など大きな建物ものまで、古の時代から親しまれています

一枚一枚金属を伸ばしていた貼っていた時代から時が経ち、
印刷技術も飛躍的に進化を遂げました。
現在では、基礎となるフィルムにアルミを蒸着し、
その上に着色を施したものを「箔」として使うことが一般的となりました。

「箔」に熱と圧力をかけ、版の絵柄を押す、
「ホットスタンプ」と呼ばれる技法が身近になっています。
「粋々」のメニューブックのロゴ入れもこの方法が使われています。

 

「粋々」では販売以来変わらず、同じ職人さんに箔押しをお願いしています。
熟練の職人さんに改めて魅力を語っていただきました。

 

箔押し職人の二代目として


有限会社小林箔押所 小林社長

 

創業は1954年ですので今年で65年目になりますね。
私は二代目です。
父が大正の終わり頃に丁稚奉公で箔押し屋に行ったことが商売の始まりと聞いています。
家族経営の会社で長年やってきましたが、最近、一緒に働いていた兄が引退をしまして。
今は一人です。この機械は見ての通り、鉄の塊ですからね。
動かすことも一苦労。年齢を重ねると体力勝負の仕事は厳しいんですよね。

 

並んでいる機械はどれも昭和の40年代頃のもの
半世紀を共に過ごした相棒です

年季の入った機械でしょう?
まだ動くの?なんてたまに聞かれますが、
元気に毎日働いてくれていますよ。
たまに電気系統が壊れたりもしますが、直せばまだちゃんと動きます。
気が付けば半世紀も一緒に働いているのですね。

皆さんがイメージする「箔押し」は、百科事典などに押してある
金や銀色の文字や装飾などではないでしょうか?
表彰状の金色の枠なども箔押しが多いですね。
薄い紙から箱などの立体的な物まで、様々なところで箔が使われています。

 

様々な思いを馳せながら押しています

「粋々」は、箔押しのロゴ入れがあってこそ
メニューブックの雰囲気が一気に豪華になりますね。
お店の象徴であるロゴマークを入れることにより、
一点ものと言いますか、唯一無二の存在を出すことが出来ると思います。

実はね、ロゴマークを見るのが毎回楽しみなのです。
「粋々」はインターネット販売なので日本中、
時には海外からのご注文もあると聞いています。
力強い筆文字のロゴ、繊細なイラストのロゴ、
動物がモチーフのロゴなど。様々ですね。
私は箔を押すのみなので詳細こそ分かりませんが、
どんなお店なのか、想いを馳せながら押していますよ。
このロゴは都心のお洒落なフレンチレストランかな?とかね。
実は私、食べ歩くことも好きなんです(笑)。

 

えいやっ!と押す勇気

HiRASAWAさんのメニューブックは
試し押し用に多少の予備を事前にいただくのですが、
仕事の中には、一点ものへの箔押しをご注文くださる方も
いらっしゃるわけですよ(笑)。
箔押しはやり直しができないため、とても緊張します。

そうなるともう、準備に時間をかけるしかないわけです。
似たような素材、厚みの練習台を探して押して感覚を掴むしかない。
とはいえ、やはり本番とは別の物での練習ですから。
で、どうするかって?
「えいやっ!」ですよ(笑)
万全の準備をしたらもう、もう押すしかないです。

 

手作業だから出来る「ひと工夫」がある

苦労する事もあります。
例えば「粋々」の「麻茶」は
天然繊維の麻で編まれた布が貼られています。
ロングセラー商品ですよね。私にもすっかりお馴染みです。
この天然繊維というのが、実は大変なのです。

麻糸でざっくり編んであるため、
いわゆる「布地(生地)」という扱いが出来ません。
目が詰まっていないので、箔が均等に押せないのです。
そこで登場するのが「松ヤニ」です。
これを敷くことにより生地の凹凸を減らします。

昔の箔は質が悪く、うまく乗らない時は松ヤニを使ったんですよ。
ベトベトしていて接着効果がありますからね。
今は箔の質が向上したので今ではもうほとんど使われなくなりましたけど、
「麻茶」には松ヤニを敷かなければ箔は綺麗に乗りません。
機械任せじゃ出来ない「ひと工夫」とでも言いましょうか。

 

箔押しの魅力
それは「付加価値」

お金をかけて箔押しを使わず、
通常の印刷でもいいわけじゃないですか。
メタリックな金箔や銀箔、色箔などを使い、
さらに凹凸も付けて立体感も出し、
印刷では出せない豪華さを演出するのが箔押しです。
箔押しは昔から「装飾」の域なのです。
印刷が悪いと言っているわけではないのです。
つまり箔押しは「付加価値」だと思うわけです。

例えばメニューブックならば、ロゴマークを箔押しすることにより、
お店の「こだわり」をお客様に表現出来ると思います。
結婚式の招待状に金箔が押してあれば、届いた方も特別感を感じることでしょう。
「箔押し」は作り手の「こだわり」を表現するひとつの手法です。

手に触れたときに、印刷では表現が出来ない感触、輝き、
箔押しの魅力を感じていただければ嬉しいです。

次回は「匠の技」をご紹介。
箔押しを実際に押していただきました。
その工程には職人さんのこだわりが随所に!!

近日公開です。
お楽しみに。

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